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お仕置き

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子供のころ、私はよく父にお仕置きで閉じ込められた。

悪いことをしたというよりは、気分屋の父の都合で、いうことを聞かなかったら自動的に
閉じ込められたから、恐怖だけが人以上に巨大化した。
想像力も其のときひょっともしたら育っていたのかもしれない。

暗闇の古い家は、子供心にとんでもなく怖くて、しかも怖がりだった私は
閉じ込められるたんびに泣き叫んだ。
使ってない座敷は4部屋もあって、電気も消されて、真っ暗で、
月明かりだけで、仏壇だけが金色に光ってた。

泣き叫んでも、ちっとも誰も助けてくれなかった。
あの手この手を使って逃げ出そうともしたから、最後は縛れて閉じ込められた。
私が体力的に父に勝つまで続いたから、あれこれ数年は続いてた。

母は父に逆らえず、ひたすら父に抵抗するものではないと、
私を説得し、最後は本人も精神的に病気になり、それが体の病気にも移った。
そしてそれでも、まだ父と一緒にいまでもいる。

そして私は今だにあれから30年以上たっても、あの恐怖心から逃れることはできない。

しかも当の本人はきっと大して覚えてないか、そのたいしたことをしたとは思っていないのである。
残っていても、まさか今の私がこんなけ影響を受けているなど、考えてもいないのだ。

父本人は忘れたかのように、私に今は笑いかける。そして私にはそれを素直には受け入れられない。

無数の父からの手紙は読まずに捨てたし、内容はいつも変わらず、かえってこいの一点張りである。


ただ、それを今更掘り返して父をせめてもしょうがないことで、
私自身の問題の解決にはつながらない。
あの頃の傷は、自分で克服するしかないのだと、ここにきて思い知る。

事実は変わらないし、傷はいつまでも心に残っている。

こんな私でも、結構元気にドイツで生きれたりするので、ある(しかも他の人よりかなりポジティブに)
なにもここで、暗い話を持ち出すことをしたかったわけでもないのだが、

そんなこんなで「実家の家」に対して、必ずしも懐かしいだけの思いはない。
正直にいうと、結構怖いのである。

今はすっかり取り壊されて、立て直されてしまっても、どうしてもあのときの怖い思い出も
思い出してしまってどうしようもなくだめなのである。

ただでも家の周りにあった自然はいつまでも心に残っている。
裏の竹林や、田んぼの緑や、用水路や、
そんな場所の思い出も私にとっては大事なものとなった。
中学校のころ、写真を集め始めた。そのころは自然の写真ばかりあつめていた。とはいっても
写真集なんてものは買えなかったから、そのころ父が病院からもらってきた
自然の写真がついてるカレンダーを切り抜いて、大事にもっていた。

そのころから、写真が好きになったような気がする。
by inei-reisan | 2013-10-14 06:07 | ミュンヘン日常 | Comments(0)

自分が住む国を選ぶ権利はあるが、国が私たちを選ぶ権利はない

by inei-reisan
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